自律神経系をむやみにゆさぶらない–健康の秘訣

自律神経系というものがあります。
ヒトが自由にコントロールできない、自律している。
そんな神経系です。

自律神経系はヒトの生活と密接に関係していて、なにかのイベントに対して、
ヒトの恒常性を保つように働きます。必要なホルモンの分泌を促して、体調をコントロールしようとします。

肉体的や精神的に強いストレスを受けると、
自律神経系のうち、交感神経が刺激されます。

瞳孔はひらき、心臓の動きは活発になります。
まさに戦うモードになります。

怪我をしても出血量を減らすため、血管は収縮します。
ご飯食べてる場合じゃないので、腸の運動は抑制されます。
ちょっとおトイレに・・・といっている場合でもないので、排尿も抑制されます(笑)

そしてなによりも、「血糖値をあげる」ためのホルモンが過剰に分泌されます。
グルカゴンやアドレナリンですね。

血糖値を測定したことのあるひとはわかると思いますが、
ストレスを受けているときに血糖値を図ると、正常なひとでも140を超えていたりします。
(血はでにくいですが(笑)

こういったホルモンは蓄えられていたグリコーゲンを分解することで血糖に変えたり、
肝臓の糖新制を活発にして、血糖値をあげます。

そう、人間は糖質を取らなくても、十分すぎるほどの血糖値を上昇させることができるのです。

交感神経の反対が、副交感神経の刺激です。

糖質の多い食事をとると、副交感神経が刺激されます。
交感神経系の刺激により血糖値があがったあとも、副交感神経が刺激されます。

瞳孔はしぼみ、心臓の鼓動は落ち着きます。
逆に腸は運動が促進され、消化がよくなります。

そしてなによりも、血糖値をさげるための唯一ホルモン「インスリン」が過剰に分泌され、
血糖値をせっせと脂肪に変えて蓄えていくのです。

ストレスや糖質摂取で、交感神経や副交感神経が過剰に刺激されると
その行きつく先は血糖値の急上昇です。
そしてインスリンの過剰分泌→肥満→糖尿病です。

血糖値の急上昇を繰り返した結果、肥満になる方は
「太る能力が強い」といえます。

「太る能力が弱い」ひとはどうなるのでしょう。

細胞は糖の処理を行うため、細胞をがん化するかもしれません。

がん化した細胞が糖をエネルギーとしているのは知られた話です。

しかし最近では解糖系という糖代謝の亢進が、細胞をがん化するということが示唆され始めています。

日々受けるストレスが多い上に、食事の糖質が多い方はつねに糖代謝が優勢になります。

これをさけるにはどうすればいいか。

そうタンパク質・脂質中心の食事ですね♪
もちろん糖質制限食のことです。

タンパク質・脂質中心の食事は、中庸です。自律神経系をむやみに揺さぶることがありません。

免疫力も強くなり、ストレスにも強くなります。

実際にわたしがそうでした。

ここ2年、風邪をひいて熱がでて寝込んだりしていません。 

歯垢もたまりません。

穏やかな心もちで、ストレスにも強くなりました。

食事のあとに眠くなりません。

朝から晩まで元気いっぱい。

糖質制限食はブームだ!危険だ!エビデンスがない!など根拠のない批判に日夜さらされています。

ですが、日を追うにつれ、刺激的なことが判明してきています。

かたくなに糖質制限食を否定してきた日本糖尿病学会のトップが、みずから糖質制限食の実践者となりました。またゆるい糖質制限食を提唱してきた方がケトン体の有用性について認めました。

これからはきちんとしたデータがでてきて、糖質制限食の有効性が裏付けられていくと思います。

参考文献
「Is there a role for carbohydrate restriction in the treatment and prevention of cancer?」
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3267662/#B1

「自律神経系をむやみにゆさぶらない–健康の秘訣」への4件のフィードバック

  1. 私は60歳を過ぎて、体力の限界を感じ、その時、甘い間食を取ると、更に元気がなくなることから、元気取り戻し対策として、糖質、脂肪の制限を1年前に始めました。つまり、ビーガンと呼ばれるベジタリアンですが、半年前より糖質制限食を私の奥さんに勧められ、徐々にこれに移行しております。元気が更に出て、更に情報をと思っていますので宜しくお願い致します。
    さて、私は心臓専門の内科医ですので、食事と自律神経の関係に思い到ることが多いのですが、どうも糖質は副交感神経を亢進させ、このこと自体は心臓を安定させ、脂肪はその逆だろうと、自分の経験から、感じております。だからといって糖質制限は更に進める方針でおります。投稿させて頂いたのは、世界的にこれに関する論文がありましたら、ご教授頂けましたら幸いです。ありがとうございます。

    1. 新年あけましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願いします。
      糖質制限を実践されているお医者様がいらっしゃることはとても心強く思います。これからもご意見交換などよろしくお願いします。

      高脂質食で、交感神経系が刺激されることは、ハゲおじさんさまもおっしゃる通り、また多くの論文でも指摘されているとおりで、私もまったく異論がありません。反対に、高糖質食により副交感神経が刺激されれば、心拍数が落ち着くことなど生理学のテキストで述べられるいることすべてにも異論はありません。

      ここからは、解釈と程度の問題となります。
      私や高脂肪食よりの糖質制限を実践されている方の血糖値測定を見ておりますと、高脂肪摂取そのものが、食後血糖値を上昇させることはまずありません。
      その背景では、低血糖を防ぐための糖新生を行う目的で、血糖上昇を促すホルモンは最低限分泌されているものと思われます。また多くの糖質制限実践者が、脂質摂取を増やすことにより、減量に成功しているところをみると、高脂肪食を継続されている方は同化よりも異化が優位になっているのは明らかだと思います。

      ですが、これをもって私は、交感神経を刺激し、自律神経系を揺さぶっているとは解釈していません。正常人であれば、高脂質食でケトアシドーシスになることはないでしょう。

      高糖質食はあきらかに血糖値の急上昇圧力をもたらし、インスリンの過剰分泌をもたらします。また多くの生化学テキストにも記述がある通り、インスリンは分泌されすぎ、その後低血糖を招きやすいようです。
      こうなれば副交感神経の刺激→交感神経の刺激と自律神経系を揺さぶることになります。 もちろん程度の問題もありますが。

      一方でストレスは交感神経を激しく揺さぶり、血糖値を急上昇させる圧力がかかります。実際に血糖値が上がる方が多いでしょう。
      現代人は多くのストレスを抱え、交感神経が刺激される場面が多いと思われます。そこに高糖質食が副交感神経を刺激すれば、一日なんども自律神経系が揺さぶられていることになります。
      では、自律神経系を揺さぶらない生活が、健康的なのか否か。私が今回、それが健康的だ!と書いたことを直接的に支持する論文はないように思います。

      詳しくはありませんが、飽和脂肪酸摂取量が脳心血管イベント発生に関係がないと明らかになった2010年報告もあるようですね。
      Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease. Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.

      江部康二先生によれば、脂肪摂取とさまざまなアウトカムについて複数のコホート研究で相関がないか、負の相関があるそうです。

      こうした情報のまとめとして、高脂質低糖質食が自律神経系を揺さぶらない、健康的な食事だと述べさせていただいた次第です。

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